汚れではなく熱中です

2021年9月16日

幼児期の子ども達は「あそび」を通して様々な事を考えたり、
友達同士で「対話」をしながらたくさんの事学んでいます。
そして、時には泥だらけになったり。水浸しになったりすることもあります。

これを大人の「清潔」というフィルターを通してみると、「あ~洗濯が大変そう」と見えるでしょうか?
では「子どもの学び」というフィルターで子ども達の「泥だらけの姿」や「水浸し」になった姿を見ると・・・どんなふうに見えるでしょう?

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「子どもの学び」というフィルターを通して遊びの姿を見ると、子ども達の姿に見える背景が変わってきませんか?
きっと、この汚れた姿。汚れようとしたのではなく、「遊びに熱中した姿」そのものなのです。
まさに学びの「勲章」として誇らしいものに私には見えます。汚れたんじゃないよ、熱中しただけなんだよ。ということ。
きっと履いていた靴も邪魔になるくらい熱中して遊べる環境があるという事が今の時代本当に大切な事なのです。
それは私たち大人が理解して「保証」し続けなければなりません。

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この文書を書きながら自分の子どもの頃を思い出しました。小学校にはいってすぐ、硬筆を習い始めました。2Bのえんぴつで何枚も何枚も字を集中して字を書いていると時間が経つのも
忘れたほど「書く」ことは好きなほうでした。気がづくと力を入れて文字を書くため右手の小指下側面が真っ黒になっていました。あれも無意識の汚れ、「熱中」でした。
あれ?例えが全然うまくありませんね(笑)。お伝えしたいことを感覚的に感じ取ってくだされば幸いです。

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「~していい?」と遊びに許可申請を取りに来る子もいます。吉田南幼稚園では基本、すぐに許可がおります。
やりたいことを、自分で考えたり、やりたい!!と感じる気持ちが大切なのです。危険だから、片付けが大変だから、と何でもかんでも大人の都合の範囲で遊んでいては遊びは広がりを持ちません。吉田南幼稚園は「自己発揮を保証する場所」。いっぱい汚れたり、お友達と協力しながら何かを作ったり、その行程でたくさんのお話をしたり、たくさん笑ったりしてみること。
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▲カイヨワによる遊びの類型 「note安斎勇樹さんから引用」

遊びにもたくさんの種類があり、そこには規則性や意識性があります。何となくやっているように見える遊びにも目的や学びの種類が異なる事があります。
〇〇建設さんのCMで子ども達が対話しながら、物づくりをして遊んでいる様子が、大人たちも同じように対話をしながら建設を行っているというCMを見たことがありませんか?
まさに、あの感覚です。大人も子どもも基本は同じなのです。使う物や道具が専門性を高めていくだけで、原理としては幼児期の砂場での対話と同じことを繰り返し社会に役立つものを生産しているのです。

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22世紀を生きる子ども達。おそらく今ある仕事の半分はAIや機械に代わる時代。VUCA時代とも言われますが本当に予測がしずらく、変動的な時代を生きる子ども達です。
今が当たり前、基準で子ども達を見るのではなく冒頭にもありましたように「フィルター」をかけながら、子ども達の育ちを見る必要性があると思います。
私も我が子を含め吉田南幼稚園の子ども達を「未来フィルター」を通してみるようにしています。

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その「未来フィルター」で大切なことは。デジタルが進んでいくからこそ「アナログ的な体験と経験」が大切ということ。
機械化が進むからこそ「人」にしか出来ないたくさんの「対話」の中で創造的な「発想(アイデア)」を生み出すということ。
そんな未来の力は幼児期の遊びの中にたくさん含まれているということ。
だからこそ幼児期にタブレットや知育的な事ではなく、子どもが子どもの時にしか出来ない「今」やれるかが大切な事だと考えるのです。

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幼児教育の手段や方法に正解はありません。もしあるとすれば、全世界が幼児期に「同じ方法」で「同じカリキュラム」を使用し、「同じように育つ」ことでしょう。
きっと子育てにも悩まず皆が同じことを同じようにやれて、同じような人間が世界中のあちこちにいるという事。
私たちも「人」として多種多様な個性や特性を持ち合わせ、互いが互いの凸凹を共有し、支えあいながら生きているのです。
その支えあう「人」の数は人口減少という形で年々少なくなっていますが、近い未来。その部分を機械やテクノロジーが発達して支えてくれる事でしょう。
だからこそ、私たち「人」にしか出来ない「自由で創造的な考えを生み出す」事がこれからの「宝物」になるのだと思います。

YOSHIDAMINAMI KINDERGARTEN
園長 橋口

© 認定こども園 吉田南幼稚園

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